海外留学をすることは、中学生からの私の夢でした。高校生のときにパンデミックで語学研修を断念せざるを得なかったこともあり、青陵短大に語学留学のプログラムがあるということを知った際には、ぜひ参加したいという強い気持ちからこの大学への入学を決意しました。

しかし、私にとってこの6カ月間の留学は、周囲の人の反対を押し切って実現させたものでした。私は体調を崩しやすい体質で、また長期間実家を離れてひとりで生活した経験もなかったため、家族は私以上に留学について心配していたようでした。出発がせまる9月まで、英語のスキルアップに励み、留学の心構えを確認し、必要な書類を揃え、一緒にアメリカへ向かう友人や先生と伴に準備を着実に進めていきました。


 9月に渡航する直前、そして無事にアメリカに到着したあとも、自分が本当にアメリカで生活することができるのだろうかという不安が心のどこかにありました。シアトル空港に到着した途端に、すでに打ちのめされたことを覚えています。空港まで迎えにきてくれたホストマザーや同時にシアトルに到着したハウスメイトが私に話しかけてくれましたが、思っていた以上に英語でうまく会話することができませんでした。留学当初は生活様式にすぐには馴染めず、自身の英語力不足により簡単な意思すら伝えることが難しく、もどかしさや悔しさで涙を飲むような日もありました。

 その後、私の意思で留学を決めたのだと自分で自分に言い聞かせて、日々大変なことに立ち向かいました。それでも最後には、たくさんの人の支えがあり、勉強も遊びも全力で楽しむことができました。私が落ち込んでしまいそうなときにアドバイスをくれたのは、父と友人でした。父の「何でも一つひとつこなしていくしかない」という言葉と、友人の「6カ月で嫌でも帰ることができる。だから勉強以外にも楽しいことをたくさん経験しよう」という言葉が今も心に残っています。二人の言葉で少し気が楽になり、留学中の生活や勉強を焦らず楽しもうという前向きな気持ちになれました。

父の助言通り、目の前の課題を一つひとつこなし日々の学習を続けたことで、アメリカでの生活にも慣れ、英語力も少しずつ向上していきました。その結果、授業も人とのコミュニケーションもより一層楽しめるようになり、自ら進んで人に話しかけたり、授業で発言したり質問したりするなど、以前よりも積極的な自分に成長することができたと思います。また、ハウスメイトと暮らしていくなかで、自分が困っているときはちゃんと人に頼ること、その代わり相手が困っているときは進んで力になることという、ごく当たり前のことではありますが、助け合って生活することの大切さも身をもって学ぶことができました。
 
 また、実際に経験しないと分からないことがあると学びました。私は留学前に「アメリカのくらしと文化」という授業を取ったり、個人的にアメリカについて知識をつけたりしてアメリカで生活に向けて準備を進めていました。もちろん、現実は想像とは異なりました。いくら事前にアメリカの文化や人々の様子を勉強しても、実際に経験するとなると話は変わります。大麻を吸う文化やホームレスの人々、食生活や日々の時間感覚など、現地で暮らすことで分かった実態もたくさんありました。日本人としての自分の価値観や、日本での暮らしと比較して自分で分析するのはとても面白かったです。「百聞は一見にしかず」と言いますが、本当にその通りだと実感しました。

この6カ月間の留学を通じて得たものは数え切れません。最大の目標であった語学力の向上だけでなく、広がったコミュニケーションの幅や、人の温かさも学ぶことができました。たった半年かもしれませんが、私にとっては人生で忘れられないかけがえのない経験です。留学を応援してくれた家族、サポートしてくださった先生方、旅行会社の横山さん、そして一緒に留学した仲間、ホームステイ先の家族、ハウスメイトや友人、関わってくれた全ての人々に、この場を借りて心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 これから、自分がこの半年で学んだことをどう日本での生活に活かし、お世話になった方々に還元できるかをじっくり考えていきたいと思います。



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